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これを読んでいるあなたへ。どうか、観光地としてのホノルルへの先入観を捨ててから、この記事を読んでみてほしい。

文化、商業、クリエイティビティ、そして人々の汗によって築かれたレンガ造りのその建物は、ワイキキ観光のきらびやかさを越えて、港を通り過ぎ、ダウンタウンに隣接したチャイナタウンに位置している。ここでは、100年前の建築の中で、今でも物語が繰り広げられ、更新され続けている。

しかし一方で、この建物とレストランRangoon(ヌアヌアベニューとパウアヒの角にある美味しいビルマ料理)がゴミ処理用のゴミ箱を収容する施設になろうとしているのだ。 3週間前、錆びたホチキスに留められたチラシが、まるで墓標のようにそのファサードを覆った。この建物には、目に見える以上のものが詰まっているにも関わらず。

パンテオンビルディングとして知られるその建物は、ホノルルの歴史と共に歩んできた。ホノルルで最古のバーがあり、かつてハワイ王国を統治したカラカウア王に愛された場所でもある。そんな背景を持った建物は、ハワイに一体いくつあるだろう。

2020年7月11日土曜日に、チャイナタウンは市主催のオープンストリートを開催。ホテルストリートとヌアヌアベニューの一部は通行止めになっており、常連客は通りを歩いたり、自転車に乗ったりして、エリアのバーや小売スペースを訪れた。地元アーティストのドゥエンデは、少し違うアプローチで通りに繰り出した。パンテオンの全体に、巨大な壁画を設置したのだ。

小麦粉の真っ白なペーストで、ストリップのチラシで覆われた壁を、人々に忘れらかけた建物を覆う。通りかかった人々は、ドゥエンデがモップをバケツに突っ込んでいるところに好奇心を持って集まり、真っ白に覆われていく壁を見ながら、やがて会話を始めた。これが、『OVER UP OF A COVER UP』。歴史に埋もれ、カバーされ忘れかけていた建物の歴史を、さらに真っ白にカバーすることで関心を再度そこへ集め、人々の目に触れさせたのだ。

この作品は、アートレジデンスであるSingle doubleのコーディ・アンダーソンとの共同プロジェクト。コーディは、かつてアートラッフル(アートを用いた募金活動の一つ)で、チャイナタウンにあったタピオカドリンクのメニューを作品にした人物。その一連の活動は、チャイナタウンで唯一とも言えるアートによるハプニングとなり、今も誇られている。

例え人々が目を向けていなくても、そこにある歴史が消えることはない。そして、物事を完全に隠すことは決してできない。この作品は、そんなことを私たちに示唆してくれている。

浮足立たず、落ち着いた姿勢と、インスピレーションに富んだ視点。物事の美しさは、普段とはズレた、別の角度にあることが多い。BANKS JOURNALはアートレジデンスのSingle Doubleとともに、チャイナタウンとホノルルのストリート全体に、よりインスピレーションを得た生活スタイルをもたらすために取り組みを続ける。

そしてこれからの不確かな時代において、パンデミックが再び近所に浸透したとしても、同様に落ち着いた視点で真実を見つめ、安定した状態を保つことが最も重要となる。そして、歴史は時に繰り返されることもあるが、まったく同じになることは決してなく、その不確実性にはいつもチャンスが潜んでいることを忘れずに。Every day is a journey、日々は旅のように出来事に富んでいるのだから。