iPadをキャンバスにし、固定観念も軽やかに飛び越えるアート作品を生み出すDunkwell(ダンクウェル)。そんな彼と今回「BANKS JOURNAL」がコラボコレクションを制作。その背景から、アートに込める思い、Dunkwellが今考えていることについて話を聞いた。

―Dunkwellさんのことを知らない方の為にも、自己紹介も兼ねて色々とお聞きしていきたいのですが、まずはアーティスト名の由来を教えていただけますか?

「ペンキをたっぷりとつける」という意味から、Dunkwellにしています。ジャンルは問わず壁や色々な場所に自分のペイントを残していくという思いで作った造語です。後は、バスケットボールが好きなんですけど、その中でも派手なプレーであるダンクからも取っています。

―現在の主な活動内容を教えていただけますか?

iPadで描いたアート作品を、「why not?」というギャラリーで発表したり、お声掛けしていただいたアパレルブランドや様々なジャンルの人たちと一緒に物作りをしています。

―元々はNYが拠点だったのでしょうか?

ベースは東京ですが、NYと行ったり来たりという形です。NYでブッシュウィックオープンスタジオという街全体のアーティストのスタジオに出入り自由な日があって、そこでトラックにキャンバスを貼って、来た人の名前をカタカナでどんどん書いていくということをやったりしていました。現在はこのコロナ禍で日本にいますが、状況が良くなればまたNYでも活動したいと思っています。

―NYでも活動しようと思った切っ掛けは?

元々ストリートアートがすごい好きなのもあって、環境的にNYの方がやりやすかったんです。例えば壁画も日本だと景観条例が厳しくて描けなかったりするのが、向こうは通りの壁全てにアートが描かれていたりとかしていて。中にはイリーガルで描いている人もいると思うんですけど。ギャラリーも無料で開放していて、気軽に入れたりする。そういうことがいっぱいあり、東京よりも絵が観られやすい環境にあるので、そういう点でNYの方がしっくり来たのだと思います。

―もっと自由な創作活動を求めていった結果、NYだったと。

そうですね。壁とかもビルのオーナーの許可さえ出れば、景観条例関係なく大きいものを描ける。日本だと許可が出ても、ある程度の面積しか描けなかったり、場所によってはかなり厳しくて。その点NYは自由度が高いですね。

―今回のBANKS JOURNALとのコラボコレクションについてお聞きしていきたいのですが、最初にBANKS JOURNALを知った際はどんな印象を抱きましたか?

センスが本当に良い。やり過ぎてないけど尖っている所もしっかりあって、カッコいいなと思っていました。

―今回のコラボレーションはどのような経緯で?

Masa Shibaharaさん(BANKS JOURNALのco-founder)に作品を観て頂く機会があって、そこから声を掛けていただきました。僕もそこでBANKS JOURNALを見たら、めちゃくちゃカッコ良かったので、是非ということで実現しました。絵と文字を何パターンか渡したら、すごいカッコ良く落とし込んでくれて感動しましたね。

―制作するにあたって、どのようなことをテーマにされたのでしょうか?

今回はカタカナのタギングをメインに描かせていただいたのですが、カタカナでタギングをしているのには日本を世界に推していきたいという思いがあるんです。漢字はデザインに落とし込んだ時に漢字自体の個性があまり抜けないけど、カタカナは自分の中で結構自由度が高い。是非それを広めたいなと思って、BANKS JOURNALの立ち上げに携わった3都市の地名をカタカナで書かせていただきました。

―今回のコレクションのアルファベットのタギング作品にも、同じ空気感を感じます。

僕は描くときに、文字とかでも生きて音がするイメージを持ちながら描いているので、英語でもカタカナでも共通する部分があるのかなと思います。

―絵の方の作品はどのようなコンセプトで?

コーヒーカップや目玉焼きなど日常の中で綺麗な物や良い物も、つい当たり前と見過ごされてしまう。それをアートに改めて落とし込むと見え方が変わってくると思っていて。そういうパーツを今までも描いていたんです。そこにサーフィンのフィンなど、BANKS JOURNALの日常やライフスタイルを入れました。

―全てモノトーンを基調としておりますが、色付けをしなかったことには何か意味があったのでしょうか?

僕自体はカラーの作品も好きなんですが、カタカナは白黒ならではのカッコ良さってあると思うんです。しかも、日本を推すなら“墨”も意識したいなと思ったんです。これらも全てタブレットで描いています。

―そのタブレットを使った制作へ今こだわられている理由は何ですか?

昔のアーティストも、今を生きていたら絶対タブレットを使っていると思うんですよ。せっかく今この時代に生きていて、これが最新なら使わない手は無いかなと。

―今後更に技術が進歩したら、その都度使うツールも変わる可能性はありますか?

全然あり得ますね。個展とかも形式が変わってくると思います。何も無い空間にお客さんが来てアートが見えるコンタクトが配られるとか…、そういう時代にどんどんなっていく気がします。

―このコロナ禍の中でも状況に順応して進化して、ピンチをチャンスに新しいことを始めている人たちもたくさんいると思います。Dunkwellさんはこういう時代をどう捉えていますか?

2020年は踏ん張る年だったと思うんですけど、ネタが溜まっているので、今年こそと2021年は色々なものがたくさん出てくると思うんです。自分としては、今まで目玉焼きなど日常で見過ごしている良い物をあえて描いていましたけど、このコロナによって普段の生活って実は有り難いものだったんだと、みんな気付いちゃったんですよね。だから、逆に今はこれからいくぞとみんなが期待してる、勢いのある世界を描きたいなと思ってます。今後どうなるか分からないですけど、時代をちゃんと切り取って、この時に生きていた作家だなということを残せるように描いておきたいなと思います。

―コラボコレクションの話に少し戻りますが、今作の服たちはこんなシーンや気分の時に着て欲しいというイメージはありますか?

このビジュアルだからこうとか、あまり狭めたくはないと思っていて。この服を着てどこに出掛けても良いし、特定のジャンルの人たちにしか着られないというのはあまり好きじゃないんです。

―それはファッションに限らず、アートにも言えますか?

そうですね。僕自身も難しいものは好きじゃないし、アートも抽象的なものだと難しいと感じる人も多いと思うので、分かりやすくて入りやすい作品を意識しています。楽しめた方が良いと思うので。そこから好きな人は掘っていけばいいし。

―そうやって今回初めてDunkwellさんを知ったという方に、何か伝えたい事やメッセージがあればお願いします。

普段あまり関心がない人にも、アートを楽しんでもらいたいということですかね。後、自分でどんどん描いてみて欲しいです。服に自分でペイントしてみちゃっても良いと思うし。絵って学校で習うから、上手く描かなきゃと思う人が多いんですけど、全然下手でも良いし、逆にその下手さがカッコ良かったりするので。だから、どんどん描いて欲しい。そういう人が増えていったら良いなと思います。

INSTAGRAM@dunkwell.tokyo